Aprilどうして戻れると、想うの? どうして還れると、想うの? 君は時に残酷で それに気づかぬフリをした 僕は何より残酷だった。 世の中上手くいかないもの。 これは何の試練? これは何の責苦? 逃げ場所さえ、もう見当たらないのに。 どうしようもないこの想いを どこへ、おさめればいいの? ―春。― 優しい気持ちになれた。 春の陽のような。 春の風のような。 春の花のような。 柔らかい気持ちになれた。 ようやく、長い長い冬が終わって、 暗くて、寂しくて、 冷たい土の中から、 ようやく、顔を出せた。 重いものも、苦しいものも、 全て、受け止めて。 溶かして。 ようやく、春になれた。 「頑張るから。」 口癖になったのは、いつからだろう。 頑張って、 頑張って、 頑張って、 その先に、何があるの? 何も持たなければ、 失うこともなかった。 何かを得たと思うから、 何かを失うと思うのだ。 けれど、 それはもう。 なかった事にするには、 あまりにも大きすぎて・・・。 大切だと、 守れなかったと、 静かに泣いた君は 臆病で。 大切だと、 失えないと、 得ようとしなかった僕は 愚かだった。 あの頃の僕らは ヒカリの中で 居心地悪そうに ともすれば消え入りそうな この存在を 必死で繋ぎとめていた。 毎日通る道端の 木蓮の花が咲いたことにも 気づかない程 僕らは疲れ 迷っていたことに 初めて気づいたのは 足元を茶色い花びらが 覆い尽くした頃だった ジャンル別一覧
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